2013年3月、宮城県仙台市で開催された第23回日本性機能学会 東部学術総会。「若いちからと復興」というテーマで開催されたこの学術総会において、総会長を務められた東北薬科大学薬学部 衛生薬学科の米澤章彦准教授に、この度の東部総会を振り返ってのお気持ちや東北の性機能医療の今後などについて、お話をうかがいました。

まず、今回の東部総会のテーマを「若いちからと復興」にしようと思われた理由をお教えください

 東北薬科大学のある仙台市をはじめ、東北地方の多くが東日本大震災により甚大な被害を受けました。当時、進行中だった研究を中止しなければならなかったことや、なかなか進まぬ復興への苛立などでかなり気持ちが落ち込んでおりました。そんな中、若い人達の献身的な復興への取り組みを目の当たりにし、とても勇気づけられ、将来への希望を抱くこともできました。この気持ちを忘れてはならないと思い、学術的なテーマとは離ますが今回の東部総会のメインテーマを「若いちからと復興」としました。もう一つの理由として、「性機能の衰えを復興すること」を目的とした本学会がこれまで以上に発展するには「若いちから」が必要とかねてより強く感じていたこともあります。本学会から生まれる「若いちから」で是非とも、世界の性機能研究をリードしてほしいと願っています。

総会を終えられてみてのご感想をお聞かせください

 会則にもあるように、本学会開催の大きな目的は「会員相互が自由に意見を交換する場を提供すること」にあります。今回、総数93名の先生にご参加いただき、例年のように活発な討論が行われたことにとても満足しています。メインテーマの「若いちからと復興」に相応しく、若い先生達が活発に討論されている姿を見て非常に頼もしく思い、また若い方々の研鑽の場となったことを嬉しく思っています。

今回の東部総会では、射精障害に関するイブニングセミナーが開催されました。現在、EDとともに射精障害でお悩み方も増加傾向にありますが、米澤先生から射精障害で悩まれている方へ向けて、何かアドバイスを頂けますでしょうか?

 今回、イブニングセミナーのテーマを「射精障害の治療を考える」としましたが、その理由は二つあります。一つは、射精の基礎研究に携わってきた者としてこのテーマでのセミナーを一度は実施したいと思っていたこと、もう一つはPDE-5阻害剤によるED治療が飛躍的に進歩した中で、潜在化していた射精障害患者が増加していることが挙げられます。今回のセミナーを通して、射精障害治療のアルゴリズムをある程度示すことができたのではないかと思っています。

 射精障害で悩まれている方へのアドバイスですが、相談しづらい内容かもしれませんが、一人で悩まず、泌尿器科医、特に「日本性機能学会専門医」のいる病院を受診されることを勧めます。なお、「日本性機能学会専門医」は日本性機能学会のホームページから調べられます。

最後に、東北のこれからの性機能医療の発展、あるいは、性機能医学の分野で東北の医療機関が担っている役割や期待なども含めまして、今後のご展望がございましたらお聞かせください。

 東北地方には、この分野の第一線で活躍されている先生が沢山おりますので東北発の「性機能医療の発展」が期待されます。私自身は今後も「射精の基礎研究」を継続することで、微力ですがこの分野に貢献したいと考えています。  [ 了 ]

米澤先生、ご協力ありがとうございました。

米澤 章彦医師

この記事の執筆者 米澤 章彦