棒グラフ夫婦間のED問題について、興味深い調査が行われていました。2009年6月に「2009年女性を対象とするED意識調査」と題して小林製薬が発表したネットアンケートです。この調査では、夫がEDになってしまった時の妻たちの受け止め方や、意外な行動パターンがデータとして表れていたのです。

浮かび上がったEDと妻たちの意識

前回のトピックスでは「ED放置男に「倍返し」!?「半沢直樹」な女たち」と題して、夫もしくはパートナーのEDに悩みつづけてきた女性たちの悲痛な実情と、なかなか治療に踏み出さない男性について、今後も夫婦関係、交際関係を続けていくかどうかシビアに見直そうと考えている女性が増えつつあるという内容の記事を掲載しました。ED治療へいまいち踏み出せない男性にとっては心の痛い話だったかもしれません。しかし、今回ご紹介する意識調査からは、そこに至るまでに女性側にも様々な葛藤があるということが伺えるのです。

EDは認知されているが治療法は知られていない

今回の小林製薬による意識調査は、全国の20代~50代の既婚女性を、それぞれの世代で各100名ずつ計500名を対象にインターネットで行われました。EDという男性疾患について知っていると答えたのは全体の60%と数字が高く、EDが認知されてきていることが伺えます。
しかし、EDに対する具体的な対処法などについては、程度の差こそあれ「知っている」と答えたのはわずか13%にとどまりました。EDという疾患は認識していても、その先の、どのように治療するかについての情報までは、ほとんど共有されていないことが明らかになりました。当の男性ですら、治療法を知らない人が多いのですから無理もないのかもしれません。

夫がEDになったら 80%弱が「特に何もしない」その真意とは

さらに興味深いのは、実際に自分の夫がEDだと思っている妻のうち、78%が夫のEDに対し、特に何もせず「見て見ぬふりをしている」と答えたことです。理由としては、「プライベートなことで聞きづらい」「気まずい」などの回答が多く、デリケートな問題であるだけに、どう対応していいものか悩んでいる姿勢がうかがえます。

「特に何もしない」というのは、一見冷淡な反応のように聞こえますが、実際は「どうして良いのか分からない」ということなのです。それは、あなたの夫がEDだとしたら、あなたはED症状改善に協力しますか?という問いへの回答を見てみても分かります。

ED改善について夫を気遣う妻たち 「協力するのが当然」

バックハグあなたの夫がEDだとしたら、あなたはED症状改善に協力しますか?という問いに対して、67%もの妻が「協力する」と答え、理由については「EDは二人の問題」「協力するのが当然」と半数以上が答えており、夫と協力してEDの問題に取り組みたいと考えていることが分かります。また、夫がED治療を始めた場合に不安なこととしては「夫の精神的負担」という回答が58%と最も多く、相手が落ち込んだりしないかどうか心配し、気持ちを尊重していることも浮き彫りになりました。しかしながら、治療法についての具体的な知識がなかったり、いざそうなった場合のコミュニケ―ションの取り方などが分からないために、不本意でありながらも「特に何もしない」という選択肢を選んでしまうのです。

以上の意識調査をふまえると、前回のトピックスのような、なかなか治療を開始してくれないパートナーの姿に愛情が醒めてしまって関係を見直そうと考えている女性たちも、もしかすると最初はかなり協力的であり、夫のためにどうすればいいのか真剣に悩んでいたのかもしれない、ということが十分に考えられます。その間に相手がEDに本気で向き合っていれば、また違った気持ちになっていたことでしょう。

一方でEDの当事者たる男性側は、もっと相手の感情に敏感になるべきであると言えるでしょう。相手の気持ちが協力的であるうちに率直に話合い、実際に行動を起こすことが大切です。それこそが、ED症状だけでなく夫婦関係においても「改善」をもたらす秘訣なのではないでしょうか。

データ出典:『2009年女性を対象とするED意識調査』 小林製薬調べ