悩む医師日本のED治療の現場では、男性がすすんで治療を受けたがらず、パートナーである女性のほうがやきもきしてしまうという状況があり、それが夫婦間ともなれば、セックスレスから子づくりにまで影響する深刻な問題であるというお話は、以前にもご紹介したことがあります。今回は、なぜ男性が治療に前向きになれないのかについて考えてみたいと思います。そこには、単に男性の勇気や行動力の不足だけで片付けられない、患者側と医療側の様々なギャップが関係しているように思われるのです。

男性が病院に行かない理由
まず、ED治療を受診する環境が、男性にとって受診しやすいのかどうかについて、考えてみる必要があります。ED治療を専門にしているクリニックが不足している現状では、男女問わずに患者を受け入れている泌尿器科や内科の病院へ行って、ED治療を受診することが強いられます。となると、医師は男性であるにしても、受付にいるのはたいがい女性看護師です。ここで、恥ずかしさが障害になるのは当然のことでしょう。逆に、これがもし女性の性機能外来だったらどうでしょう?いくら医師が女医でも、受付に男性看護師がいたら、女性の患者さんは果たして来院するでしょうか?

ED治療でも最も抵抗があるのが、受診時の受付だといわれています。実際、ED治療ナビの相談サポートセンターにも、「何と言って受診したらいいんでしょうか?」というお問い合わせが少なくありません。その恥ずかしさをやり過ごすべく、実際には他の症状を理由に受診して、診察室でカミングアウトするパターンもある程です。しかし、こういった患者側の気持ちは、意外なほど医療側には伝わっていないのです。

病院側がつかめていない患者側の気持ち
ED治療に関する知識は、日常生活のなかで身に付いたりするものではなく、自分から積極的に調べない限り分かりません。自然ともたらされる情報とは言い難い部分があります。当然ほとんどの男性が、治療の内容や、どの病院をどう受診したらいいのかについても無知な状態です。この「情報のもたらされなさ」を認識している医療機関がとても少ないため、患者側の気持ちに理解が及ばず、男性のED治療受診を遠ざけてしまっていると言えるでしょう。

ED治療は、病院側は単純に「医療」として淡々と行っているわけですが、患者側にとってはそうではなく、かなり性的な意味合いを含んだ、自尊心にも関わるデリケートな問題です。そのことを医療側は今以上に認識して、実際の治療に反映すべきなのです。幸いなことに、少しずつではありますが、最近では様々な工夫で潜在的な患者さんを呼び込む病院も増えているようです。

受診しやすくする病院側の工夫
ED治療に関する情報が、自分から調べない限りもたらされない情報であることを逆手にとり、積極的に情報を公開している病院は、ED治療の受診を考えている男性からすると、とても頼もしく映ります。シニア世代でも気軽にネットで情報が調べられる今、初診料や治療薬の種類と値段、院長情報などを、ネットを通じて公開することで患者さんの来院へのハードルは大幅に下がり、情報を積極的に公開している病院ほど、好感を持たれやすい傾向にあります。
また、各病院独自の工夫も効果が大きく、最初に述べた受付けでの恥ずかしさを軽減するため、受付に特定の置物を用意して、それを指差すだけで診察が受けられるようにしたり、問診票に特定の記号を書き添えるだけで、ED治療希望であることを伝えられるようにする、などといったアイディアは、小さな気遣いでありながら侮れません。患者たる男性側にとっては、受診のハードルが大幅に下がるありがたい工夫なのです。

こういった「受診のハードル」を下げることに関して、ED治療ナビで少しでも協力できることはないかと考え、受付でも恥ずかしい思いをしなくてすむ予約システムの確立や、 無料の電話相談窓口 ご相談サポートセンター(0120-022-079) の開設なども行いましたが、ED治療を初めて受診しようと考えている方々から支持を得る一方で、現実問題としての医療側と患者側との距離や受診ハードル根絶にはまだまだ課題も多く、道のりも長いように感じられます。

医療側と患者側が、相互に歩み寄ってEDという問題に対処していうくことが大切であり、周辺の関係者も、それぞれが出来る事を模索して協力していく必要があるのではないでしょうか。