ジスロマック(クラミジア治療薬:アジスロマイシン)
ジスロマックは、クラミジア治療の第一選択薬として広く用いられるマクロライド系抗生物質の先発品です。有効成分アジスロマイシンを含有し、1回の服用で約10日間にわたって抗菌効果が持続するため、少ない服用回数で感染症の治療が可能です。
クラミジアに対する臨床試験では投与開始から29日目で90.7%の症状改善率が確認されており、歯周病や副鼻腔炎、マイコプラズマ肺炎など幅広い細菌感染症にも効果を発揮します。世界的な製薬企業であるファイザー(Pfizer)が製造販売しています。
なお、本ページは薬剤師が執筆しております。
Atsu薬剤師資格をもち、現在でも調剤薬局で勤務しています。また医療雑誌の編集にも携わっております。
Ray看護師資格を有し、総合病院で勤務。退職後、出版社に勤務し、医学誌の編集も担当しておりました。
※本ページの初稿は薬剤師が執筆しております。その後、医学誌編集経験を有する看護師が情報の正確性をチェックしています。
ジスロマックの概要
- 1回の服用で約10日間効果が持続するマクロライド系抗生物質の先発品
- クラミジアに対する臨床試験で投与開始から29日目で90.7%の症状改善率
- 歯周病、副鼻腔炎、マイコプラズマ肺炎など幅広い細菌感染症に有効
- 食事の影響をほとんど受けず、食前・食後どちらでも服用可能
- 製造元はファイザー(Pfizer)で、世界中で広く使用されている信頼性の高い薬剤
ジスロマックの製造元はファイザー(Pfizer)です。ファイザーは1849年に設立された米国の大手製薬企業で、世界180カ国以上で医薬品を供給しています。ジスロマックは1991年に米国で承認されて以来、世界中で感染症治療の標準薬として処方されています。
| 商品名 | ジスロマック(Zithromax) |
|---|---|
| 内容量 | 250mg:6錠 500mg:3錠 |
| 効果・効能 | ・クラミジア感染症 ・淋菌感染症 ・歯周病 ・副鼻腔炎 ・マイコプラズマ肺炎 ・その他の細菌感染症 |
| 有効成分 | アジスロマイシン水和物(Azithromycin Dihydrate)250mg / 500mg |
| 副作用 | ・下痢 ・腹痛 ・悪心 ・嘔吐 ・発疹 |
| 形状・剤形 | 錠剤 |
| ブランド | ファイザー(Pfizer) |
ジスロマックはこんな方におすすめ
- クラミジア感染症を早期に治療したい方
- 淋菌感染症の治療薬を探している方
- 少ない服用回数で感染症を治療したい方
- 歯周病や副鼻腔炎の症状に悩んでいる方
- 信頼性の高い先発品の抗生物質を使用したい方
ジスロマックの有効成分について
ジスロマックの有効成分であるアジスロマイシン水和物は、15員環マクロライド系抗生物質に分類されます。
細菌のリボソーム50Sサブユニットに結合し、タンパク質合成を阻害することで病原菌の増殖を抑制します。
アジスロマイシンの最大の特徴は、優れた組織移行性です。感染部位における組織内濃度は血中濃度の数十倍から数百倍に達し、病巣に高濃度で集積することで強力な抗菌作用を発揮します。
さらに、体内からの消失が緩やかであるため、1回の服用で約7〜10日間にわたり有効な抗菌濃度が持続します。この特性により、短期間の服用で治療を完了できる点が大きな利点です。
また、ペニシリン系やセフェム系の抗生物質は細菌の細胞壁合成を阻害するため、細胞壁を持たないクラミジアやマイコプラズマには効果を示しません。これに対し、アジスロマイシンはタンパク質合成という異なる経路を標的とするため、これらの病原体にも有効に作用します。
Atsuアジスロマイシンは「選択毒性」と呼ばれる特性を持ち、細菌の機能のみを標的として作用します。
ヒトの細胞にはほとんど影響を与えないため、比較的安全性の高い抗生物質です。
また、ペニシリン系の抗生物質にアレルギーがある方でも、作用機序が異なるマクロライド系のジスロマックであれば使用できる場合があります。
ただし、エリスロマイシンやクラリスロマイシンなど他のマクロライド系薬剤、またはケトライド系薬剤にアレルギーの既往がある方は、交差反応のリスクがあるため服用を避ける必要があります。
ジスロマックの効果・効能
ジスロマックは、アジスロマイシンに感受性を持つ幅広い菌種に対して抗菌作用を発揮します。
- クラミジア感染症(尿道炎、子宮頸管炎、咽頭クラミジア)
- 淋菌感染症
- 歯周病
- 副鼻腔炎
- マイコプラズマ肺炎、クラミジア肺炎
- 気管支炎、肺炎
- 中耳炎
クラミジア治療において、ジスロマックはアジスロマイシンとして1000mgを1回服用するだけで治療が完了します。承認時の臨床試験では、クラミジアによる尿道炎・子宮頸管炎の108例に対して90.7%の症状改善率が確認されています。
また、歯周病に対しては85.9%、マイコプラズマ肺炎に対しては98%、副鼻腔炎に対しては100%の有効率が、国内承認時の臨床試験で報告されています。
咽頭クラミジア(喉のクラミジア)にも有効で、喉や扁桃腺の腫れ、咳、痰、発熱などの症状を改善します。陰部クラミジアと同様の服用方法で治療が可能です。
ジスロマックの服用方法・使用方法
ジスロマックの服用量は、治療する疾患によって異なります。水またはぬるま湯と一緒に服用してください。
クラミジア感染症の治療
| 1回の用量 | 250mg錠:4錠 / 500mg錠:2錠 (アジスロマイシンとして1000mg) |
|---|---|
| 1日の服用回数 | 1回 |
| 服用する期間 | 1日のみ(1回の服用で完了) |
| 服用するタイミング | 食前・食後どちらでも可 |
クラミジア以外の感染症の治療
| 1回の用量 | 250mg錠:2錠 / 500mg錠:1錠 (アジスロマイシンとして500mg) |
|---|---|
| 1日の服用回数 | 1回 |
| 服用する期間 | 3日間 |
| 服用するタイミング | 食前・食後どちらでも可 |
ジスロマックは食事の影響をほとんど受けないため、食前・食後どちらのタイミングでも服用できます。クラミジア以外の疾患で3日間服用する場合は、毎日同じ時間に服用するのが効果的です。
服用期間中に飲み忘れた場合は、気づいた時点ですぐに1回分を服用してください。その後、次回の服用までは通常の間隔をあけてください。
Atsuクラミジア治療では、アジスロマイシン1000mg(250mg錠×4錠)を1回服用するだけで治療が完了します。
前述のとおり、アジスロマイシンは組織内に高濃度で長時間留まる特性があるため、たった1回の服用でも約7〜10日間にわたり有効な抗菌濃度が持続します。
飲み忘れによる治療失敗のリスクがなく、服薬負担が極めて少ない点が大きな利点です。
副鼻腔炎、肺炎、皮膚感染症などの一般的な感染症に対しては、1日1回500mgを3日間連続で服用します。
3日間の服用であっても、組織内での薬効は約7日間持続するため、実質的には7日間の治療に相当します。
ジスロマック服用後の注意点
クラミジア治療後の性行為について
ジスロマックを服用して症状が改善しても、体内にはクラミジアの病原体が残存している可能性があります。通常、ジスロマック服用後にクラミジアが完治するまでには3〜4週間程度かかります。
服用開始後1カ月程度は性行為を控えることが推奨されます。その後、医療機関でクラミジア検査を受け、陰性を確認してから性行為を再開するのが望ましいでしょう。
アルコールとの併用について
ジスロマックは主に肝臓で代謝されるため、アルコールと併用すると肝臓への負担が増加し、副作用が生じやすくなる可能性があります。ジスロマック服用中は飲酒を控えてください。
ジスロマックの警告・禁忌・副作用
警告
ジスロマックの使用にあたっては、耐性菌の発現を防ぐため、感受性を確認し、必要な最小限の期間の投与にとどめてください。本薬の使用に際しては、他の抗菌薬と同様に適正使用が求められます。
禁忌
次に当てはまる方はジスロマックを服用できません。
- アジスロマイシンに対し過敏症の既往歴のある方
- 他のマクロライド系またはケトライド系の薬剤に対し過敏症の既往歴のある方
副作用
ジスロマックの服用により、以下の副作用が現れる場合があります。
消化器症状
- 下痢
- 腹痛
- 悪心・嘔吐
- 腹部膨満感
皮膚症状
- 発疹
- 蕁麻疹
- そう痒症
その他
- めまい
- 頭痛
- 肝機能検査値の異常(ALT・AST・ALP増加等)
重篤な副作用
まれに以下の重篤な副作用が報告されています。異常が認められた場合は、直ちに服用を中止し、医療機関を受診してください。
- アナフィラキシー(蕁麻疹、呼吸困難、血圧低下等)
- 中毒性表皮壊死融解症(TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)
- 急性腎障害
- 偽膜性大腸炎
- 肝炎、肝機能障害、黄疸
- QT延長、心室性頻脈(torsades de pointesを含む)
- 間質性肺炎、好酸球性肺炎
- 白血球減少、顆粒球減少、血小板減少
- 横紋筋融解症
Atsuジスロマックの副作用で最も多いのは下痢や軟便などの消化器症状です。
これはアジスロマイシンが腸内細菌にも影響を与えるために起こります。
通常は軽度で数日以内に改善しますが、激しい下痢や血便が見られた場合は偽膜性大腸炎の可能性があるため、直ちに服用を中止して医療機関を受診してください。
なお、ジスロマックは服用終了後も約10日間体内に留まるため、服用終了後2〜3週間は副作用の発現に注意が必要です。
ジスロマックの他の薬との相互作用
併用しないこと
現在、ジスロマックと併用禁忌とされている薬剤はありません。
併用に注意すること
以下の薬剤はジスロマックとの併用に注意が必要です。
制酸剤(水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム含有製剤)
制酸剤に含まれる成分がジスロマックの吸収を妨げ、血中濃度のピーク値が減少する可能性があります。
- ジスロマックの服用と制酸剤の服用は2時間の間隔をあけてください
ワルファリン(抗凝固薬)
マクロライド系抗生物質との併用でワルファリンの抗凝固作用が増強される可能性が報告されています。
- 併用する場合は、血液凝固能のモニタリングが推奨されます
シクロスポリン(免疫抑制薬)
アジスロマイシンとの併用でシクロスポリンの血中濃度が上昇する可能性があります。
- 併用する場合はシクロスポリンの血中濃度に注意が必要です
ジゴキシン(強心薬)
マクロライド系抗生物質が腸内細菌によるジゴキシンの代謝を阻害し、血中濃度が上昇する可能性があります。
- 併用時はジゴキシンの中毒症状(嘔吐、不整脈等)に注意してください
ジスロマックの注意事項
- 処方された用量を守り、自己判断で増量や中止をしないでください
- 症状が改善しても、指定された服用期間を最後まで守ることが耐性菌の発生を防ぐために大切です
- 心疾患のある方は、QT延長のリスクがあるため、服用前に医師に相談してください
- 肝機能障害のある方は、慎重に使用してください
- 妊娠中または妊娠の可能性がある方は、医師に相談してから服用してください
- ジスロマック服用中は、直射日光を避けて室温で保管してください
Atsuジスロマックで効果が見られない場合は、以下の点を確認してください。
1. 用法用量が正しいか:クラミジア治療の場合はアジスロマイシンとして1000mgの1回投与が正しい用量です。
2. 原因菌がジスロマックの適応菌種か:体調不良の原因がジスロマックの適応外の菌である可能性も考えられます。改善が見られない場合は医療機関で検査を受けることが大切です。
3. 制酸剤との飲み合わせ:水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムを含む薬を併用すると、ジスロマックの吸収が妨げられる場合があります。
ジスロマックのよくある質問
ジスロマックはクラミジアにどのくらいで効きますか?
ジスロマックは服用後2〜3時間で血中濃度がピークに達し、早い方では翌日から効果を実感できます。ただし、クラミジアが完全に陰性化するまでには3〜4週間程度かかるため、症状が改善しても完治の判定は医療機関での検査を受けてから行ってください。
ジスロマック250mgと500mgはどちらを選べばよいですか?
クラミジア治療の場合、250mgなら4錠、500mgなら2錠を1回で服用します(アジスロマイシンとして1000mg)。効果に違いはないため、服用しやすい方を選んでください。クラミジア以外の感染症では、250mgなら2錠、500mgなら1錠を1日1回、3日間服用します。
ジスロマックは食前と食後のどちらに飲むべきですか?
ジスロマックは食事の影響をほとんど受けないため、食前・食後どちらに服用しても問題ありません。ただし、胃腸が弱い方は食後に服用することで、消化器系の副作用を軽減できる可能性があります。