ネキシウム(プロトンポンプ阻害薬:エソメプラゾール)
ネキシウムは、胃酸の出すぎが原因で起こる「逆流性食道炎」や「胃・十二指腸潰瘍」などの症状を改善するための薬です。胃酸の分泌をしっかり抑えて、胸やけや胃痛といった不快な症状を和らげます。
国内外の医療ガイドラインでも第一選択薬として推奨されており、どんな体質の方でも安定した効果が得られやすいのが特徴です。毎日1回の服用で症状を改善し、副作用が起こりにくいように設計されています。
なお、本ページは薬剤師が執筆しております。
Yuu総合病院で院内薬剤師として勤務し、糖尿病病棟の担当や患者さん向けの講座開催を経験しました。その後は調剤薬局にて在宅訪問や無菌調剤にも携わり、幅広い現場での知識と実践を積んでいます。
また、食と健康のつながりを深めるため薬膳アドバイザーの資格も取得しています。
さらに、医学誌編集経験を持つ看護師が最終確認を行い、医療の専門家による二重のチェック体制で情報の正確性を担保しています。
Ray看護師資格を有し、総合病院で勤務。退職後、出版社に勤務し、医学誌の編集も担当しておりました。
※本ページの初稿は薬剤師が執筆しております。メドノア編集部が必要に応じて加筆・修正を行いますが、その際も情報の正確性と信頼性を損なわないよう細心の注意を払っています。
ネキシウムの概要
- 長期間の胃酸分泌抑制効果が持続
- 逆流性食道炎や胃もたれなどの症状を和らげ、食道や胃の炎症を改善
- 胃や十二指腸にできた潰瘍の治りを早め、再発を予防
- 痛み止め薬(NSAIDs)や低用量アスピリンの服用時の潰瘍予防にも効果的
- ピロリ菌の除菌治療の際には、薬の働きを高めるサポート役として使用
製造販売元である、アストラゼネカ(AstraZeneca plc)は英国ケンブリッジを本社に持ち、世界各国で革新的な医薬品の研究開発と供給を行っています。
| 商品名 | ネキシウム |
|---|---|
| 内容量 | 14錠/28錠 |
| 効果・効能 | 逆流性食道炎および非びらん性胃食道逆流症(NERD)の改善 胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍の治療および再発予防 Zollinger‐Ellison症候群の治療 NSAIDsや低用量アスピリン服用時の胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発抑制 ヘリコバクター・ピロリ除菌療法の補助 |
| 有効成分 | ・エソメプラゾール(Esomeprazole) 20mg ・エソメプラゾール(Esomeprazole) 40mg |
| 副作用 | 下痢、肝機能異常、腹痛、便秘、発疹、頭痛など まれに低マグネシウム血症、光線過敏、めまい |
| 形状・剤形 | 錠剤(腸溶性フィルムコーティング) |
| ブランド | アストラゼネカ(AstraZeneca plc) |
ネキシウムはこんな方におすすめ
- 胃もたれ・胸やけ等の不快症状が続く方
- 胃酸抑制薬に効果を感じにくかった方
- 逆流性食道炎を繰り返している方
- NSAIDsやアスピリンなどを長期服用している方
- 胃潰瘍や十二指腸潰瘍の再発が心配な方
ネキシウムの有効成分について
有効成分のエソメプラゾールは、胃の中で胃酸を作る「プロトンポンプ」という働きを直接抑えます。これにより胃酸の量が減り、胃や食道の痛みや炎症を和らげ、胃潰瘍や逆流性食道炎の治療に効果的です。
従来のプロトンポンプ阻害薬には、肝臓の代謝酵素「CYP2C19」が関わっています。この酵素の働きは人によって大きく異なり、効果にばらつきが生じやすいことが課題でした。エソメプラゾールはこの酵素の影響を受けにくいため、どんな体質の方でも安定して効きやすいのが特徴です。
そのため、1日1回の服用で強力かつ安定した胃酸抑制効果が期待できます。
ネキシウムの効果・効能
- 逆流性食道炎や非びらん性胃食道逆流症(NERD)の症状改善
- 胃・十二指腸潰瘍の治療・再発予防
- NSAIDsや低用量アスピリン服用時の消化性潰瘍・再発防止
- ピロリ菌除菌療法の補助
- その他、食事やストレスに起因する胃酸関連症状の緩和
これらの効果は多くの臨床試験で確認されており、逆流性食道炎の方189名を対象とした臨床試験で、治癒率87.3%を達成しています。また、NSAIDsやアスピリン長期服用者の潰瘍再発防止においては、実際に96〜98%の方で再発が抑えられたというデータがあります。
ネキシウム服用により胃や食道の不快な症状をしっかり抑え、再発も防ぐことで日常生活の質を高める効果が期待できます。
Yuuネキシウムは1日1回の服用で、胸やけや胃の不快感を早く和らげることが期待できるお薬です。
個人差が少なく、どんな体質の方でも安定した胃酸抑制効果が期待できます。
このため、効果にムラが出やすい他のプロトンポンプ阻害薬に比べ、より確実に胃酸の過剰分泌を抑え、症状の改善に繋がりやすい特徴があります。
安定した効果を求める方や、服用効果の個人差が気になる方に特におすすめできるお薬です。
ネキシウムの服用方法・使用方法
【逆流性食道炎(びらん性)】
| 1回の用量 | 20mg錠…1錠/40mg錠…1/2錠 |
|---|---|
| 1日の服用回数 | 1回 |
| 服用間隔 | 24時間 |
| 服用期間 | 8週間 |
| 服用するタイミング | 特に指定なし |
【非びらん性逆流性食道炎】
| 1回の用量 | 20mg錠…1/2錠/40mg錠…1/4錠 |
|---|---|
| 1日の服用回数 | 1回 |
| 服用間隔 | 24時間 |
| 服用期間 | 4週間 |
| 服用するタイミング | 特に指定なし |
【胃潰瘍、吻合部潰瘍、ゾリンジャー・エリソン症候群】
| 1回の用量 | 20mg錠…1錠/40mg錠…1/2錠 |
|---|---|
| 1日の服用回数 | 1回 |
| 服用間隔 | 24時間 |
| 服用期間 | 胃潰瘍・吻合部潰瘍:8週間 十二指腸潰瘍:6週間 |
| 服用するタイミング | 特に指定なし |
【十二指腸潰瘍】
| 1回の用量 | 20mg錠…1錠/40mg錠…1/2錠 |
|---|---|
| 1日の服用回数 | 1回 |
| 服用間隔 | 24時間 |
| 服用期間 | 6週間 |
| 服用するタイミング | 特に指定なし |
【NSAIDsまたは低用量アスピリン投与時の潰瘍再発抑制】
| 1回の用量 | 20mg錠…1錠/40mg錠…1/2錠 |
|---|---|
| 1日の服用回数 | 1回 |
| 服用間隔 | 24時間 |
| 服用期間 | 症状により適宜服用 |
| 服用するタイミング | 特に指定なし |
使用上の注意
- 持病のある方や多剤を服用中の方は、服用前に医療機関に相談してください。
- 長期間服用する場合は、定期的に内視鏡検査や血液検査を行うことが推奨されます。
- 服用開始後数週間で効果の確認を行い、改善がみられない場合は他の疾患の可能性を考慮し医療機関に相談してください。
Yuu服用後数週間で効果の確認をすることはとても重要です。
ネキシウムは胃酸を抑える効果が早く現れますが、症状の改善には個人差があり、数週間服用しても改善が見られない場合があります。
その際は、自己判断で服用を続けるのではなく、他の病気が隠れている可能性を考えて、詳しい検査を受けることが必要です。
たとえば、胃がんや食道がんなどの重大な疾患でも似た症状が出る場合があります。
早期発見・早期治療につなげるためにも、専門医の診察を受けましょう。
ネキシウムの警告・禁忌・副作用
警告
- 肝障害(劇症肝炎、肝炎、肝機能障害、黄疸、肝不全)が現れた場合には直ちに使用を中止し、適切な処置を行う必要があります。
- 間質性肺炎(呼吸困難や咳が続く)、急性腎障害等の重篤な副作用が報告されており、これらの症状が疑われた場合は速やかに医療機関を受診してください。
- ショック、アナフィラキシーなどの過敏症も起こる可能性があります。
- 長期使用で低ナトリウム血症や錯乱状態(幻覚、興奮等)といった神経精神症状が報告されています。
禁忌
- ネキシウムの成分であるエソメプラゾールマグネシウム水和物または製剤成分に過敏症の既往歴のある方。
- 抗HIV薬のリルピビリン塩酸塩(エジュラントⓇ)を使用中の方。
ネキシウムに含まれる成分がリルピビリンの血中濃度を低下させ、効果を弱める恐れがあるため。 - 抗HIV薬のアタザナビル硫酸塩(レイアタッツⓇ)を使用中の方。
- その他、本剤の成分や薬理作用により重大な副作用や相互作用が起こる可能性のある方。
副作用
- 下痢・軟便
- 味覚異常
- 消化器系:腹痛、悪心、便秘、腹部膨満感、口内炎、食道炎など
- 皮膚:発疹、赤み、痒み
- 肝機能:AST・ALT上昇、肝機能異常、黄疸
- 血液:血小板減少、好酸球増加、貧血、白血球数異常
- 神経・精神:頭痛、めまい、睡眠障害、錯乱、幻覚、攻撃性
- 腎臓:急性腎障害、間質性腎炎
- 筋肉:筋痛、脱力感、横紋筋融解症
重篤な副作用
- 劇症肝炎、肝不全
- 中毒性表皮壊死融解症(TEN)、スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)、多形紅斑
- 汎血球減少症、無顆粒球症、溶血性貧血
- ショック、アナフィラキシー反応
- 間質性肺炎(呼吸困難、咳など)
ネキシウムの他の薬との相互作用
併用しないこと
- 抗HIV薬
・アタザナビル硫酸塩(レイアタッツ®)
・リルピビリン塩酸塩(エジュラント®)
ネキシウムの胃酸抑制作用がこれら薬剤の血中濃度を低下させ、効果が著しく減弱するため、絶対に一緒に使用しないでください。
併用に注意すること
- ジアゼパム、フェニトイン、シロスタゾール、ワルファリン
これらの薬剤はネキシウムにより代謝が遅れ、副作用が強くなる恐れがあります。
- タクロリムス水和物、メトトレキサート
ネキシウムの影響で血中濃度が上昇し、副作用リスクが増加する可能性があります。
- ジゴキシン、メチルジゴキシン
ネキシウムによって血中濃度が上昇し、作用が強くなりすぎる恐れがあります。
- イトラコナゾール、ゲフィチニブ、ニロチニブ、エルロチニブなどのチロシンキナーゼ阻害剤
これらの薬剤はネキシウムにより血中濃度が低下し、効果が減弱することがあります。
- ボリコナゾール
ネキシウムにより効果が強まる可能性があります。
- ネルフィナビルメシル酸塩
ネキシウムの影響で血中濃度が低下し、効果が落ちることがあります。
- セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)を含む食品
ネキシウムの血中濃度が低下し、効果が減弱する恐れがあります。
ネキシウムの注意事項
- 長期間使用により、骨折のリスクが増加する可能性があるため、特に高齢者の方は注意が必要です。
- 胃酸分泌を強く抑えるため、胃酸依存性のビタミンB12の吸収が低下し、長期使用でビタミンB12欠乏症を生じるおそれがあります。
- 使用中に新たな胃症状が出現した場合や症状が改善しない場合は、早めに医師に相談し、胃癌などの可能性を排除する検査を受けることが重要です。
- 抗酸菌症や感染症にかかるリスクがわずかに高まることがあるため、感染症の症状がある場合は慎重に服用してください。
- 腸溶性コーティング剤であるため、開封や破壊すると成分が失われるおそれがあるため、取り扱いには注意が必要です。
Yuu長期間にわたりネキシウムを服用すると、骨密度の低下により骨折リスクが増加する可能性があります。
これは胃酸の抑制により、カルシウムの吸収が妨げられ骨が弱くなるためで、特に高齢者の方や閉経後の女性は注意が必要です。
また、胃酸が減ることでビタミンB12の吸収も低下し、欠乏症を引き起こすことがあります。
体調不良や貧血の原因となることがあるため、長期使用中は異変を感じたら自己判断せず速やかに医療機関に相談しましょう。
ネキシウムのよくある質問
ネキシウムの効果はいつから感じられますか?
胃酸を抑える効果は服用初日から始まりますが、効果が安定して最大になるには2〜3日かかることがあります。症状の改善を実感するには数週間の服用が必要な場合が多いです。
ネキシウムを長く飲み続けても大丈夫ですか?
長期服用は可能ですが、骨折リスクの増加やビタミンB12欠乏の可能性もあるため、定期的に検査を受けることが望ましいです。症状が改善しない場合は早めに医療機関に相談してください。
ネキシウムは食前・食後どちらに飲むのが効果的ですか?
特に食前・食後の指定はありませんが、毎日同じ時間帯に服用することが効果維持のポイントです。
妊娠中や授乳中にネキシウムを飲んでも安全ですか?
妊娠中や授乳中の安全性は確立していません。
ネキシウムの服用中にお酒を飲んでも良いですか?
お酒は胃に刺激を与えて症状を悪化させる可能性があるため、服用中は控えることが望ましいです。
ネキシウムを飲み忘れた場合、どうすればいいですか?
気づいた時点で飲んでください。ただし、次の服用時間が近ければ飲み忘れた1回分は服用しないでください。2回分を一度に服用しないようにしましょう。