AGA診療ガイドラインとともに考える最適な薄毛治療

AGAや薄毛について、「医師に相談して治療を受ける」という認識もかなり広がってきました。しかし「病院に行って治す」だけが、取りうる選択肢とは限りません。

にもかかわらず、あまりに「治療」ばかりを求められる状況になっていないでしょうか。薄毛に悩んでいる方それぞれが、その悩みのレベルにマッチした最適な方法を選べているとは言い切れません。

そこで今回は、AGAや薄毛に関するさまざまな向き合い方を見つめ直しながら、それぞれの温度感に適した行動について考えてみたいと思います。

目次

AGAや薄毛との向き合い方は人それぞれ、向き合い方次第で選択肢が決まる

AGAや薄毛の症状に対して、どのような向き合い方をするのかは人それぞれです。

病院で医師や専門家に相談したい方、自宅で自力の育毛にこだわりたい方、薬を服用して発毛効果を求める方、育毛剤だけを使って何とかしたい方。それぞれの「最適」があるといえます。

また、AGAや薄毛の症状に対処する選択肢は本来とても幅が広く、多様性に富んだものです。必ずしも「治療」に向かわなければいけないわけではありません。

AGAや薄毛に悩まれている方は、まず自分がどのようにAGAや薄毛と向き合っていきたいのかを見極めてみることが大切です。それが分かることで、自分に合った方法や取るべき行動がよりクリアに見えてくるでしょう。

あなたはどのタイプ? それぞれに合った薄毛やAGAとの向き合い方

それでは、AGAや薄毛との向き合い方について、どのようなケースが考えられるのかシミュレーションしてみましょう。

医療機関に行くのか、行かないのかという大きな分かれ目

AGAや薄毛との向き合い方において、大きく方向性が分かれるポイントとしては、「医療機関に行く/行かない」という選択の違いが考えられます。医師に相談したい方もいれば、医薬部外品などを購入して自分なりに自宅で対策したいという方もいるはずです。

次に大きく分かれるのが、金額・時間・得られる効果についての意識ではないでしょうか。気長に、医師に相談するにしても、あまり費用をかけずに治療をしたいタイプの方もいます。一方で、できる限り短期間で高確率の発毛を目標に、大がかりな毛髪再生の施術を検討する方もいることでしょう。

自宅で自力の薄毛対策がしたい方もいれば、カモフラージュしたい方もいる

医療機関に相談するよりも、もっとライトなスタンスとして、自宅で薄毛への対策や対処を行いたいという方もいます。症状がごく軽度な場合に多く、人に見られずにひっそりと継続的に行えることにも魅力があるようです。

その他のグループとして、「治療する」というスタンスではなく、「薄毛症状を目立たなくさせたい」という方もいます。人工増毛や髪型を変えるなどで、見た目をうまくカモフラージュする方法です。「治療する」ことよりも、薄毛を見られることで受ける精神的苦痛を緩和することに重点が置かれています。

こうして考えると、AGAや薄毛との向き合い方は本当に人それぞれです。自分の望む向き合い方を決めてから、取るべき手段をみつけていきましょう。

「治療」を選ぶ人たちの選択肢のベース「AGA診療ガイドライン」

薄毛とどう向き合うのかについて「治す」という考え方を選択した方のネクストステップは、治療方法の選択になります。その際に参考になるのが「AGA診療ガイドライン」です。

AGA治療を行ううえでの指針となるもので、治療方法のほとんどが記載されているため、大変参考になります。AGAや薄毛の治療をするにも「そもそも治療方法にはどんなものがあるの?」と迷われている方は、ぜひ一度目を通してみてはいかがでしょうか。

治療方法の幅の広さ、多様性が分かるはずです。できるだけ広い選択肢のなかから自分に最適な方法を選びましょう。

AGA診療ガイドラインとは?

AGA診療ガイドラインとは、日本皮膚科学会が2010年にまとめたAGA治療の診療指針です。日本皮膚科学会に所属する医師からなる「男性型脱毛症診療ガイドライン策定委員会」が作成しました。

男性型脱毛症診療ガイドライン 2010年版(PDF)- 日本皮膚科学会

作成の背景として、AGA治療の認知拡大や普及とともに、科学的根拠に基づかない治療が横行してしまい、薄毛に悩む方が無効な治療法を漫然と続けてしまう現状があったことがガイドラインの冒頭に明記されています。

ガイドライン策定には単にAGA治療の指針を示すというだけでなく、そうした状況を是正する目的もあったようです。そのため、AGA診療ガイドラインではAGAの治療薬や治療方法を包括的に取り扱い、策定委員会による推奨度をアルファベットでランク分けして掲載しています。

2017年に改訂されたAGA診療ガイドライン

2010年に初めて発表された診療ガイドラインですが、その後2017年には評価の見直しや新たな治療薬・治療方法の追加など、初めての改訂が行われました。なお、2026年2月時点で、この2017年版が最新のAGA診療ガイドラインです。円形脱毛症のガイドラインは2024年に改訂されましたが、男性型および女性型脱毛症については改訂されていません。

2017年に改訂されたAGA診療ガイドラインと2010年版の旧ガイドラインを見比べることで、何がどう変化したのか、ガイドラインをどうブラッシュアップさせたかったのか、見えてくるものがあります。

まずは2010年版のAGA診療ガイドラインをチェック!

それではさっそく、2010年に発表された最初のガイドラインからみていきましょう。

AGA診療ガイドラインでは、推奨度が高いものだけを取り上げるのではなく、推奨度が低いものも掲載しています。各アルファベット表記とそれが示す推奨度、それに対応する治療方法は下記のとおりです。

推奨度A:行うよう強く勧められる

  • ミノキシジル外用(AGA・FAGA)
  • フィナステリド(プロペシア)内服

ミノキシジル外用薬の使用と、フィナステリド(プロペシア)の内服に、最も高い推奨度が認められています。

ミノキシジルとは発毛効果が期待できる有効成分であり、外用薬(塗り薬)の使用は男性でも女性でも可能です。メドノアでは、ミノキシジル外用薬としてミノキシトップを取り扱っています。

フィナステリド(プロペシア)には、AGAの原因物質をつくりだす働きがある酵素を抑制する効果が期待できます。女性への処方が禁止されている薬であるため、男性のみに推奨される形となっています。フィナステリドのジェネリック医薬品としては、フィンペシアが広く知られています。

推奨度B:行うよう勧められる

  • 自毛植毛

ミノキシジル外用療法、フィナステリド内服に次ぐ推奨度が与えられている治療方法が自毛植毛です。

A判定とされた治療方法で効果がなかった場合に、試してみることが推奨されています。自毛植毛は、その名のとおり自身の毛を植え込むため、拒絶反応などがありません。海外では有名アスリートなどもこの方法で薄毛を克服した例があり、世界的に注目が集まりました。

技術も進歩しており、痛みや皮膚のつっぱり感などを感じにくい術式が開発されています。

推奨度C1:行うことを考慮してもよいが、十分な根拠がない

  • 塩化カルプロニウム
  • t-フラバノン
  • アデノシン
  • サイトプリン・ペンタデカン
  • ケトコナゾール

これらは主に、医薬部外品などとして市販されている育毛剤や、医療機関で処方される外用薬(塗り薬)などに含まれている成分です。ケトコナゾールについては、頭皮環境を整えるシャンプーに配合されることもあります。メドノアではケトコナゾール配合のデノンシャンプーを取り扱っています。

自毛植毛の推奨度よりもさらに1段階低い評価です。効果を示すエビデンスが少なく、「十分な根拠がない」とされています。

ただし、使用がおすすめできないというレベルでもありません。重大な副作用がもたらされた報告もないため、使用自体は考慮してもよいと判断された治療方法(成分)です。

推奨度C2:根拠がないので勧められない

  • セファランチン

推奨度C2以降は、ガイドライン策定委員会として、薄毛に悩む方やAGAを治療しようとしている方に対して奨められないと判断した治療方法になります。

セファランチンは植物由来のアルカロイドの一種で、錠剤として医療機関で処方されることが一般的です。円形脱毛症に対する効果は認められているものの、AGAやFAGAに対する効果は認められていないため、推奨度の低い治療方法となっています。

推奨度D:行わないよう勧められる

  • 人工植毛術
  • 女性(FAGA)へのフィナステリド内服治療

行わないことが勧められる、いわば注意喚起に近い判定の治療方法です。

フィナステリド(プロペシア)は妊娠中・授乳中の女性が服用すると、胎児への影響や催奇形性が強く懸念されるため処方自体が禁止されており、D判定となっています。

人工毛植毛は、ポリエステルなどの化学繊維を植毛する方法です。自毛植毛と違って、激しい副反応が起こる事例などが多数報告されているため、行わないよう勧められると判断されています。

初改訂! 2017年版のAGA診療ガイドライン

AGA診療ガイドラインは、初の策定から7年を経て、内容が改訂されることになりました。こちらが、改訂されたAGA診療ガイドラインの内容です。

男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版(PDF)- 日本皮膚科学会

当然気になるのは、具体的に触れられている治療方法に変化はあったのか、推奨度は変わったのか、という点です。2017年版のAGA診療ガイドラインにおける主な変更点・追加内容を比較表で確認してみましょう。

推奨度2010年版2017年版
A
行うよう強く勧められる
・フィナステリド内服(男性)
・ミノキシジル外用
・フィナステリド内服(男性)
デュタステリド内服(男性)
・ミノキシジル外用
B
行うよう勧められる
・自毛植毛・自毛植毛(男性)
LED・低出力レーザー
アデノシン(男性)
C1
考慮してもよいが
十分な根拠がない
・塩化カルプロニウム
・t-フラバノン
・アデノシン
・サイトプリン・ペンタデカン
・ケトコナゾール
・塩化カルプロニウム
・t-フラバノン
・サイトプリン・ペンタデカン
・ケトコナゾール
カツラの使用
・自毛植毛(女性)
C2
根拠がないので
勧められない
・セファランチン・ビマトプロスト・ラタノプロスト外用
成長因子導入・細胞移植療法
D
行わないよう
勧められる
・人工毛植毛
・フィナステリド内服(女性)
・人工毛植毛
ミノキシジル内服
・フィナステリド内服(女性)
デュタステリド内服(女性)

それでは、新たに書き加えられた治療法や、推奨度の評価に変化があったものについて、細かくみていきましょう。

変更点1:デュタステリド(ザガーロ)が追加(推奨度A)

2016年に登場した新しいAGA治療薬が、ガイドラインにも追加されています。推奨度はAです。

デュタステリドとは有効成分の名前であり、病院などで処方される際の薬剤名は「ザガーロ」です。この成分はもともと前立腺肥大症の治療を目的に開発されましたが、毛髪再生への効果が注目され、改良を経て薄毛・AGAの薬として発売されました。

先に発売されているAGA治療薬フィナステリド(プロペシア)と異なっている点は、AGAの原因物質である悪玉男性ホルモンをつくりだしてしまう5αリダクターゼという酵素に対する働き方です。5αリダクターゼにはI型とII型があり、フィナステリドはII型にのみ作用します。一方、デュタステリドはI型にもII型にも作用して、男性ホルモンを悪玉男性ホルモン化させる働きをブロックします。

5αリダクターゼのI型・II型どちらにも作用することから、フィナステリドよりも効果が高いと思われがちですが、2017年版のガイドラインを見る限りでは、そうとは言い切れないようです。フィナステリドとの比較試験において有意差が認められない場合も確認されており、効果の差については、さらなる検証が必要であるとされています。

男性型脱毛症に対する効果は認められていますが、デュタステリドもフィナステリドと同様、女性に対する処方は副作用などの観点から禁忌となっています。そのため、女性の薄毛(FAGA)に対する治療薬としては推奨度D(行わないよう勧められる)の判定です。メドノアではデュタステリドのジェネリック医薬品としてデュタスを取り扱っています。

変更点2:カツラの着用が追加(推奨度C1)

改訂版のガイドラインに、カツラが追加されました。推奨度はC1です。

AGAそのものに対して、育毛や発毛に関連した対策ではありませんが、薄毛症状が進行した頭皮に周囲の目が向くのをカバーすることができ、当事者の外見に関する深刻な不安やストレスを軽減することに役立つと考えられます。

現在では非常に自然に装着できるものも増えており、外見からでは判別ができない製品も開発されています。

変更点3:LEDおよび低出力レーザー照射が追加(推奨度B)

LEDや低出力レーザー照射による薄毛・AGA治療の方法が新たに追加され、推奨度Bとなっています。

2010年時点ではかなり新しい治療方法であり、効果に関する十分な試験やデータが揃っていなかったため記載されませんでした。比較試験によって得られたデータなどからガイドラインに追加され、推奨度Bという評価になっています。

治療の内容ですが、低出力レーザーやLEDライトを薄毛症状の患部に照射することで、頭皮内のミトコンドリアの活動や細胞の活性化、細胞分裂の促進が起こり、毛包幹細胞や毛包上皮細胞が活性化されて毛髪が増えるというメカニズムです。

変更点4:アデノシンの推奨度が上がった(推奨度B)

アデノシンは2010年版の最初のガイドラインで推奨度がC1だった成分で、医薬部外品の育毛剤や化粧品などに使用されています。

改訂版で推奨度がBにワンランク上がった背景としては、効果を調べた臨床データが増えたことと、そのなかで発毛や育毛への作用が認められた点が考えられます。自宅での育毛剤使用などをメインに薄毛症状へのケアを行いたい方にとって、注目すべき変化といえるでしょう。

ちなみに、最初のガイドラインで推奨度C1判定だったその他の成分(塩化カルプロニウム、t-フラバノン、ケトコナゾール、サイトプリン・ペンタデカン)については評価が変わらず、C1のままとなっています。

変更点5:ミノキシジルの「内服」が追加(推奨度D)

ミノキシジルの内服が推奨度Dの判定として追加されています。最初のガイドラインのなかではミノキシジル外用、つまり頭皮に塗布する薬しか記載がありませんでしたが、2017年版のガイドラインでは内服も加わりました。

ガイドライン策定委員会としては、現在のところ、ミノキシジルの内服は効果と副作用の検証がまだ十分に行われていないため、推奨度Dという結論に至っています。

推奨度がDとなる具体的な理由としては、有用性についての臨床試験がなされていないこと、国内での認可だけでなく、男性型脱毛症の薬として認可している国がないことなどが挙げられています。

ミノキシジル内服薬をめぐるガイドラインと現実のギャップ

しかしながら一方で、AGAや薄毛の治療現場の実際に目をやると、ガイドラインの推奨度と異なった状況もあるようです。

医療機関によっては、医師が薄毛の症状や健康状態等を慎重に判断したうえで、効果の期待できる治療薬としてミノキシジル内服薬を処方しているケースも見受けられるため、ミノキシジルの内服については診療実態とガイドラインの推奨度との間に微妙な乖離が生じています。

今後、ミノキシジル内服の有効性を示す臨床試験データが十分に整ってくることで、推奨度も変わってくるかもしれません。

現状のガイドラインでの推奨度も認識したうえで、ミノキシジル内服薬による薄毛治療を希望されるのであれば、長期間ミノキシジル内服薬を処方してきた実績のあるクリニックを受診するとよいでしょう。メドノアでは、ミノキシジル内服薬としてミノキシトップ タブレットも取り扱っています。

変更点6:成長因子導入および細胞移植療法が追加(推奨度C2)

成長因子導入および細胞移植療法とは、幹細胞由来の成長因子を頭皮に注入するHARG療法や、自己の血液に含まれる血小板を利用して組織や細胞の機能を再生させるPRP療法などを指すと考えられます。

これらの治療方法については、比較試験や症例修正がすでに行われていることや、今後が期待される治療法である点についてはガイドラインでも認められています。

しかしながら、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に則る必要があり、広く一般的に施術できる治療法ではないことなどから、推奨度C2という判定に至っています。

ガイドラインに載っている方法・評価だけがすべてとは限らない

2010年版・2017年版と両方のAGA診療ガイドラインについてみてきましたが、ガイドラインで決められている高い推奨度の治療のみを行わなければいけない、ということではありません。ガイドラインに書かれていることが「AGA治療のすべてであり絶対」であるかのように信じている方もしばしば見受けられますが、決してそんなことはありません。

確かにAGA診療ガイドラインは皮膚科医を中心とした専門チームがエビデンス等を考慮しながら慎重に定めたものであることは間違いありません。しかしそれはある一定の基準であって、絶対的な指標ではないのです。危険で重篤な副反応が認められているものは除く必要がありますが、ガイドラインで推奨度が多少低くとも、即座に選択肢から除外する必要はありません。

例えば、C2判定となった成長因子導入療法や、D判定とされているミノキシジル内服などについては、検証が不十分であるとの理由から推奨度が低くなっている部分が大きいといえます。比較試験などが十分に重ねられていれば、違った推奨度が出ていた可能性も十分に考えられるでしょう。

さまざまな治療方法を包括的に記載し、それぞれを独自に評価しているという点でガイドラインは参考に値します。しかし、ガイドラインでの推奨度ありきで決めるのではなく、自分なりの薄毛との向き合い方を大切にしながら、最適だと思える治療方法を選んでいくことが重要です。

自分らしい「薄毛との向き合い方」にぴったりな選択肢を見つけよう

新旧のAGA診療ガイドラインについて把握できたところで、改めて薄毛との向き合い方と、それぞれに適した治療方法・選択肢について考えてみましょう。

タイプ1:【症状が軽度】病院で手軽な治療を気長に続ける派

  • 重要視するポイント:手軽さ、医師に相談
  • マッチしそうな方法:プロペシア、ザガーロ、ミノキシジル外用

病院で医師に相談しつつも、気負わずに手軽な方法で薄毛を改善したいと考えている方や、最近抜け毛が増えてきた気がするから医師に相談してみよう、という方が当てはまるグループです。

このグループに該当する方にとって重要なのは、薄毛治療を手軽に、気楽に受けるという点と、医療機関で医師に相談できるという安心感になります。ナーバスになるほど薄毛症状も進行していないため、大げさな治療よりは手軽に始められる治療のほうが適しているといえるでしょう。

実際の処方としては、フィナステリド(プロペシア)やデュタステリド(ザガーロ)などの内服薬を、いずれか1種類だけ処方してもらうケースが多く、治療のビギナーに最適であると考えられます。

受診先の選び方と治療を続ける期間について

近年、AGA治療はかなり浸透してきており、一般的な皮膚科医院などでも薄毛治療の薬の処方が可能になってきています。必ずしも薄毛治療の専門的なクリニックを受診しなければいけないわけではありません。自分の望む治療に応えてくれるかどうかを見極め、最適な医療機関を受診しましょう。

受診先の選び方といえば、最近では自宅にいながらスマートフォンなどで診察・処方を受けることができる「遠隔診療」に対応した医療機関を選ぶ方も増えています。遠隔診療は原則として初診時は対面診療を行うことになっているため、医療機関に一切行かなくても治療・処方が受けられる方法とはいえません。遠隔診療での処方は、フィナステリド・デュタステリド・ミノキシジル外用薬のいずれかになるでしょう。

また、お薬による治療を続ける期間についても注意が必要です。治療期間が長ければ絶対に髪が生えてくるというものではありません。期間を区切って効果を検証してみることも大切です。一般的に薄毛治療の効果は治療開始から半年程度で現れてくるといわれており、それを過ぎても改善がみられない場合や、抜け毛がさらに増えている場合などは、治療方法が本当に適切なのか見直してみましょう。

タイプ2:【症状が軽度】病院でできるだけ安く治療を受けたい派

  • 重要視するポイント:安さ、発毛効果
  • マッチしそうな方法:フィナステリド、デュタステリド、ミノキシジル

病院で受けられる治療のなかで、効果も気にしながら、できる限り費用を安く抑えたいと考える方が当てはまるグループです。

AGA治療は保険が適用されない自由診療なので、全額が自己負担になります。それゆえに費用面を心配される方も少なくありません。医療機関によって薬代や診察費などが異なってくるため、費用を抑えるには受診先の見極めも重要です。

症状がまだ軽度ということもあり、治療内容については内服薬もしくは外用薬(塗り薬)の処方を前提としています。施術を用いた大掛かりな治療法は、費用がかさんでしまうため選択肢に含まれていません。

ジェネリック薬なら経済的! 信頼できる入手先を選ぼう

お薬を中心とした治療で費用面を気にする方には、ジェネリック医薬品がおすすめです。AGA治療薬「プロペシア」には、ジェネリック薬(フィナステリド)があります。より費用を抑えて安く治療を受けたい方で、プロペシアを服用したい場合にはジェネリックを希望する旨を医師に相談すると良いでしょう。ジェネリックの取り扱いがあるか無いかも重要で、受診先を選ぶ際のひとつの判断基準になります。

費用をさらに抑えたい方のなかには、海外通販サイトなどでジェネリック医薬品を購入する方もいます。ただし、信頼できるサイトを選ぶことが非常に重要です。成分鑑定を実施していないサイトや、正規品の取り扱い証明がないサイトでの購入は避けるべきです。

当サイト「メドノア」では、メーカー正規品のみを取り扱い、第三者機関による成分鑑定も実施しています。安全性を重視しながら費用を抑えたい方は、こうした信頼できるサイトを利用することをおすすめします。

タイプ3:【症状が中等度~重度】発毛効果を重視した薬で治療したい派

  • 重要視するポイント:薬による治療、発毛効果
  • マッチしそうな方法:ミノキシジル内服、フィナステリド、デュタステリド

病院に相談して、より高い発毛効果が見込める薬で治療したいと考える方が当てはまるグループです。薬の作用や効果の違いを意識しながら治療を行うことが大切になります。

抜け毛の進行を抑制する作用のあるフィナステリド(もしくはデュタステリド)を使用しながら、発毛への効果が期待できるミノキシジル内服薬を併用するというのが、このグループに推奨されるベーシックな処方の組み合わせです。

発毛効果が期待できるミノキシジルのみに頼るのではなく、抜け毛の進行を抑えるフィナステリドやデュタステリドを使用して、抜け毛の進行についてもしっかりと治療を行いながらミノキシジルを併用することが、発毛効果に重点をおいた内服療法にとっては基本的かつバランスの取れた治療方法です。

効果が実感できるまでは、やはり半年~1年ほどの時間を必要とします。経過を観察し、それでも期待した効果が得られなかった場合には、自毛植毛や成長因子導入療法など、薬ではなく施術によって発毛を目指す治療を検討してみるとよいでしょう。

タイプ4:【症状が中等度~重度】大掛かりな施術を用いてより確実に発毛させたい派

  • 重要視するポイント:発毛効果、確実性
  • マッチしそうな方法:自毛植毛、HARG療法、メソセラピー、LED・低出力レーザー

病院で受けられる治療のなかでも、施術を要する大掛かりな方法も視野に入れて、より発毛の確実性が高いものにチャレンジしたいと考える方や、薄毛の進行度合いが激しい方が当てはまるグループです。

内服薬や外用薬(塗り薬)の使用に加えて、より発毛効果の期待できる自毛植毛や、HARG治療などの成長因子を頭皮に直接注入する方法、あるいは低出力レーザー照射を続ける方法といった、比較的大掛かりな施術系の治療を受けるケースが想定されます。それらを受けながら、同時に内服薬や外用薬を使用して、さらに発毛効果を高めるケースもあるでしょう。

自毛植毛やHARG療法など施術系の薄毛治療を受ける際に最も注意すべきことは、施術を行う医師の技術です。技術力のある医師の施術を受けることで、発毛効果の確実性が増すだけでなく、施術におけるさまざまなリスク(思わぬ副作用、施術ミスなど)を回避することにも繋がるため、医師の技量・腕前はとても重要なポイントです。

また、保険の利かないなかで医師による「施術」を受けるわけですから、当然コスト(費用)もそれなりにかかってくることになります。最終的な総額をしっかりと確認したうえで、支払いにはどのような方法があるのか、事前のカウンセリングなどを通じて相談してみるとよいでしょう。高い効果が見込める施術であっても、無理をするのは禁物です。

腕のいい医師による施術を受けるには?

では、技術力のある医師を選ぶにはどうしたらよいのでしょうか。ひとつの基準になるのが「経験の豊富さ」です。腕の良い医師は、たくさんの症例を経験しています。なるべく多くの施術を経験している医師を選ぶため、経験年数だけでなく、治療実績もしっかりと比較してから受診先を選ぶようにしましょう。

また、内服薬や外用薬の処方と同様に、保険は適用されない自由診療となります。総額の把握や支払い方法の確認、リスク、副作用などを医師と十分に相談してから行うことが大切です。

タイプ5:自宅でできる範囲の薄毛対策をしたい派

  • 重要視するポイント:手軽さ、自宅
  • マッチしそうな方法:育毛剤(ミノキシジル、アデノシン)、家庭用美容器

病院には行かずに、自宅でできうる範囲のことをしながら薄毛に対処したいと考える方が該当するグループです。

自宅でできることなので「治療」というレベルのものとは異なります。そのうえで、自宅でできる薄毛対策として少しでも効果が求められる方法となると、市販されている医薬部外品の育毛剤の使用、もしくは家庭用美容機器の使用などが考えられます。

市販の医薬部外品育毛剤にもさまざまな種類がありますが、ミノキシジルやアデノシンなど、AGA診療ガイドラインで取り上げられている推奨度の高い有効成分を含む育毛剤を使用することで、薄毛への効果を期待することができます。

家庭用の美容マシンを使って自宅で薄毛対策を行う場合は、低出力レーザーもしくは赤色LEDが照射できる美容器を選ぶと良いでしょう。低出力レーザー・赤色LED照射については、AGA診療ガイドラインでも推奨度Bとなっており、薄毛への改善効果が期待できます。使用しているところを人に見られずに続けられるのも、自宅でできる薄毛対策のメリットといえるでしょう。

自宅でできる”対策”もどこかの時点で効果検証を

このように、病院に通院することなく自宅でマイペースに続けられる薄毛対策ですが、長期間やり続けたから必ず結果が出るとは限りません。自分でできる範囲のことをやった成果がきちんと表れているのかどうか、期間を区切ってしっかりと検証することも忘れないようにしましょう。

半年~1年以上経過しても、なかなか思うような効果が表れず、薄毛症状が中等度~重度へと進行している場合には、自宅のみでの対処にこだわることをやめて、医療機関への相談も検討することが大切です。

タイプ6:薄毛を治すのではなくカバーしたり目立たなくさせたい派

  • 重要視するポイント:薄毛の目立たなさ、精神的負荷の軽減
  • マッチしそうな方法:かつら、増毛パウダー、ヘアカラー・ヘアスタイル変更、増毛

病院で治療を受けるという選択でもなく、自宅でのセルフケア対策で発毛を目指すわけでもない、別の選択肢があります。「治す」というスタンスではなく、薄毛の状態を目立たなくさせる、カモフラージュするという考えを選択する方や、薄毛症状そのものの治療よりも、薄毛であることによって生じる「精神的な苦痛」を早急に解決したい方がこのグループに該当します。

2017年版のガイドラインでも、主に精神的負荷の軽減という点で有効性を認められたカツラの使用は、薄くなった頭髪を見られたくない方にとって即時的な効果を発揮します。その他にも、頭にふりかけるタイプの「増毛パウダー」の使用や、薄毛が気にならなくなるようなヘアカラー、ヘアスタイルに変更するなどが具体的な方法として挙げられます。

今ある選択肢のなかから自分なりのベストを

薄毛治療、AGA治療はまだまだ発展途上です。誰の薄毛でも必ず治せるという時代が到来するとしても、それはまだ先のことでしょう。

ですから、AGAや薄毛の悩みの解消は、今ある方法のなかから自分に合った選択肢を選んでいくしかありません。そのためにも、AGAや薄毛の問題とどう向き合っていきたいのかをしっかりと意識することが大切です。それによって、取るべき行動が明確になります。

その際に参考になるのがガイドラインですが、あくまでも「ひとつの指針」というだけであって、AGA診療ガイドラインにおける推奨度だけが絶対ではないことも忘れてはいけません。実際の効果やその持続性といったプラスの側面だけでなく、トータルでの費用、副作用、発生し得るリスクなども、AGAの治療や対策を選択するうえで重要なポイントです。

何を最優先にするかは個人個人で異なってくると思いますが、望む条件を順位づけしながら最適な治療方法・対策方法を見つけ出してみてください。

よくある質問

AGA診療ガイドラインとは何ですか?

AGA診療ガイドラインとは、日本皮膚科学会が策定したAGA(男性型脱毛症)治療の診療指針です。2010年に初版が発表され、2017年に改訂されました。各治療法に対してA~Dの推奨度をランク付けしており、治療法を選ぶ際の参考になります。

2017年版のガイドラインで推奨度Aの治療法は何ですか?

2017年版で推奨度A(行うよう強く勧められる)とされているのは、フィナステリド内服(男性)、デュタステリド内服(男性)、ミノキシジル外用の3つです。2010年版から新たにデュタステリドが追加されました。

ミノキシジル内服はなぜ推奨度Dなのですか?

ミノキシジル内服は、有用性についての十分な臨床試験が行われていないこと、国内外で男性型脱毛症の薬として認可されていないことなどが理由で推奨度D(行わないよう勧められる)とされています。ただし、実際の治療現場では医師の判断のもとで処方されるケースもあり、ガイドラインと実態には乖離がみられます。

フィナステリドとデュタステリドの違いは何ですか?

どちらもAGAの原因物質をつくりだす5αリダクターゼという酵素を抑制する薬ですが、フィナステリドはII型のみに作用するのに対し、デュタステリドはI型とII型の両方に作用します。ただし、2017年版ガイドラインによると比較試験で有意差が認められない場合も報告されており、効果の差についてはさらなる検証が必要とされています。

薄毛治療の効果はどのくらいで現れますか?

一般的に、内服薬や外用薬による薄毛治療の効果は、治療開始から半年程度で現れてくるといわれています。半年を過ぎても改善がみられない場合は、治療方法が適切かどうかを見直すことが大切です。

ガイドラインの推奨度が低い治療法は選ばないほうがよいですか?

必ずしもそうとは限りません。推奨度が低い治療法のなかには、エビデンスの蓄積が不十分なために低い評価になっているものもあります。ガイドラインはあくまでひとつの指針であり、絶対的な基準ではありません。自分の薄毛との向き合い方や生活スタイルに合った方法を、幅広い選択肢のなかから選ぶことが大切です。

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本記事の監修者・執筆者

メドノア編集部が監修・執筆。
記事により薬剤師による執筆、また、適宜、医療系国家資格を有する専門家(看護師資格を有し、総合病院で勤務。退職後、出版社に勤務し、医学誌の編集も担当)が、医学的記述や表現に不自然な点がないか確認をしています。
確認済みの記事には、その旨記載しております。

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