スコットさん(49歳・男性)からの質問

バイアグラは女性が服用しても効果があるのでしょうか?
私がバイアグラを飲んで効果があったので、妻自身も自分が飲んだら性的な興奮などの効果があるのか気になると言っています。

回答

効果が全く無いわけではありません。
ただ医学的な裏付けが全くないので、現状では女性がバイアグラを服用するのはご遠慮いただいた方が賢明かと思います。

そもそもバイアグラは男性の勃起不全を改善する効果のあるED治療薬として開発されているため、男性器の無い女性には基本的には効果は無いといわれていましたが、最近の臨床実験等では、血管を拡張して血流を良くするというバイアグラの基本的な作用により、女性への効果もあるのではないかと考えられています。

医学的な裏付けはナシ

女性がバイアグラを服用することで、血流が促進され、女性器の神経も過敏になって、結果的に性的感度が向上するということもあるようです。実際、臨床実験での女性被験者の中には性的興奮の度合いが増し、性欲も増進したといった意見もあったそうです。

しかしあくまでこれらは非公式な見解で医学的な裏付けは全く無く、バイアグラを製造しているファイザー社も、女性がバイアグラを服用した際の効果については明言していません。ただバイアグラ自体は狭心症の研究時の偶然の産物として開発されたED治療薬のため、いまだに全ての服用効果が確認されているわけではありませんので、ひょっとしたら女性に対しての何らかの効果があるのかもしれませんが、現状でははっきりとした作用は認められていません。

老化防止効果?

また一方では、バイアグラは老化防止にも効果があるのではないかと考えられています。バイアグラを常用していると、老化の要因の一つといわれている酸化ストレスが体内から減少し、男性ホルモンが増加する効果があったといわれています。ホルモン自体が人間の身体機能を改善して若返り効果をもたらすといわれており、男性ホルモンも女性の老化防止に効果があるのではないかといわれています。

女性用バイアグラ

女性用のバイアグラともいうべき、女性の性的欲求低下障害「HSDD」治療薬が、2015年8月にアメリカのFDA(アメリカ食品医薬品局)によって認可され、同年10月にはアメリカ国内で販売が開始されました。その治療薬はフリバンセリンを有効成分とし、商品名「アディ」の名称で販売されています。

アディ

アメリカの製薬会社「スプラウト・ファーマシューティカルズ」が製造・販売する、女性の性的欲求低下障害の治療薬です。現在スプラウト・ファーマシューティカルズ社は、カナダの大手製薬会社「バリアント・ファーマシューティカルズ・インターナショナル」に買収されたため、製造・販売はこのバリアント社が担っています。

アディはあくまでも女性の性的欲求低下障害を治療する目的で開発された治療薬であり、服用することで性的興奮が得られるような媚薬効果等はありません。アディの有効成分であるフリバンセリンはもともと抗うつ薬として使用されており、服用することで脳内の神経伝達物質のバランスを整えて性的意欲を促進させる効果があるといわれています。
度重なる研究の結果、後天性・広汎性の性的欲求低下障害に対する一定の有効性が認められて認可が下りた治療薬ではありますが、重篤な副作用が起きる可能性があるため、現在では服用を薦めていない医師も多いといいます。

また、肝心の効果についても疑問視する声もあり、1日1錠の服用を数週間継続しないと効果があらわれない、しかも臨床試験では服用者の半数程度しか効果が出なかったともいわれています。金額的にも高価なため、気軽に飲める治療薬というわけではなさそうです。

強い眠気や吐き気、最悪の場合は失神するというハイリスクな副作用も問題視されており、主な副作用としては吐き気・めまい・疲労感・眠気・口の渇き・不眠症などがあり、便秘・腹痛・発疹などの軽度の副作用も確認されています。さらにアルコールと併用すると副作用のリスクが高まるという懸念点もあるので、処方を行う医師は個別に研修を受ける必要があり、処方を受ける患者側もリスクを理解した上で同意書に署名する必要があります。

このように非常に不安要素のある治療薬にもかかわらず、米FDAが認可した裏側には、男性の性機能に関する治療薬を多数認可しているのに女性用治療薬はなぜ認可されないのか、というような批判が多く寄せられたため、やむをえず認可したのではないかといわれています。そのため、日本の厚生労働省は認可をしておらず、今後も日本国内での正規購入は難しいと思われます。

いまだ全ての効果などが解明されていないバイアグラなので、予想外の副作用や効果があることも考えられるので、現状では女性がバイアグラを服用するのはやめておいた方が得策でしょう。パートナーと相談し、バイアグラを服用しない形で改善できないか、精神的なところから性的興奮を得てみるなど、現時点で行える改善策や施策などを行うのが良いのではないでしょうか。