石田さん(41歳・男性)からの質問

レビトラがもう全然手に入らないので、もしジェネリックがあれば買いたいと思っているのですが、レビトラのジェネリックというのは販売されているのでしょうか?

回答

日本では正規のレビトラのジェネリック薬は存在していません。
というのも日本国内ではまだレビトラの特許自体が有効であるため、厚生労働省から認可を受けた「正規」のレビトラジェネリック薬というのは存在しないということになります。

日本国内の医療機関等でレビトラのジェネリック薬が処方されることは原則としてありませんが、最近では海外から個人輸入したレビトラのジェネリック薬を「正規」と称して処方するグレーなクリニックもあるようなので注意が必要です。

日本でのレビトラのジェネリックはいつ頃解禁?

日本国内でレビトラのジェネリックが認可されるのは、おそらくまだかなり先の話となりそうです。厚生労働省認可の「正規」のジェネリック薬が医療機関で処方されるようになるには、バイエル薬品が保有するレビトラの特許が期間満了を迎えることが絶対条件となります。その特許もレビトラの有効成分であるバルデナフィルの物質特許と、勃起不全の改善効果に対する用途特許の2種類が存在し、その両方の特許が満了とならなければ、レビトラと同じバルデナフィルを有効成分とするED治療薬を製造・販売することはできません。

これら2つの特許に加えて、レビトラを製造するバイエル薬品は、レビトラと同じバルデナフィル塩酸塩水和物を有効成分とする薬剤の製造に関する製法特許も保有しているため、もし別の製薬会社がレビトラのジェネリック薬を製造する場合はこの製法特許も侵害せずに作らなくてはなりません。
これらのハードルをクリアした上でやっとジェネリック薬が製造でき、厚生労働省から認可が下りれば、晴れて「正規」のレビトラジェネリックの処方開始となります。

特許は20年で満了となるため、日本国内では2004年からレビトラが販売されたので、2024年頃にはレビトラのジェネリックが解禁となるのではないかと予測されています。しかし1998年に発売されたバイアグラが20年も経たず、2014年にジェネリック販売開始となったこともあり、ひょっとすると2024年よりも少し早くジェネリックが解禁となるかもしれません。

ただあくまで、特許が満了になったら、バイエル薬品以外の製薬企業もレビトラのジェネリック薬を製造することができるというだけで、どのメーカーも技術的に製造できるかというと不安材料は残るようです。バイエル薬品が保有する製法特許はかなり複雑といわれ、特に水に溶けやすい性質を持つバルデナフィル塩酸塩を固体の錠剤に生成するのは難しく、バイエル薬品の製法特許を侵害せずに製造できるかが、製法特許満了前となる2024年よりも先にジェネリック薬を販売できるかの鍵となってくるようです。

レビトラのジェネリックはインド製

しかしインターネットでレビトラのジェネリックを検索してみると、実際に販売している通販サイト等を見つけることができます。もちろん日本国内ではレビトラのジェネリック薬は製造・販売されていないので、サイトの運営者が個人輸入で海外から入手して販売していると思われます。
ではなぜ世界的にも特許が有効なため製造が認められていないレビトラのジェネリック薬が存在するのか。それは特許の効力があやふやなインドでジェネリックが実際に製造されているからです。

インド国内では2005年まで物質特許というものが定められていなかったため、世界的に特許が有効であったとしても2005年以前に製造・販売されていた医薬品においては、その特許を保有する製薬企業等に使用料のような費用を支払うことで、合法的にジェネリック薬の製造・販売が可能となっています。ただこれらの理由は表向きといわれており、実際はインドで製造されたジェネリック薬が発展途上国にとっては必要不可欠となっていることが、インドで製造を黙認されている最大の理由といわれています。

現在、日本国内の個人輸入代行で入手されたレビトラのジェネリック薬はすべてインド製で、現時点でも「バリフ」「ビリトラ」「ジェビトラ」「サビトラ」などのレビトラジェネリックが通販サイト等で販売されているのが確認されています。

バリフ
インドのアジャンタ・ファーマ社が製造・販売するレビトラのジェネリック薬で、レビトラと同じバルデナフィルを有効成分とし、タブレット型の錠剤とゼリー状の製剤の2種類が販売されています。

ビリトラ
インドのセンチュリオン・ラボラトリーズ社が製造・販売するレビトラのジェネリック薬で、レビトラと同じバルデナフィルを有効成分とし、レビトラと比べるとかなり小さいサイズのタブレット錠剤なのが特徴的です。

ジェビトラ
インドのサンライズ・レメディーズ社が製造・販売するレビトラのジェネリック薬で、レビトラと同じバルデナフィルを有効成分とし、水で服用するタブレット型の錠剤や、水無しで飲めるソフトタブレット型やゼリー状の薬が販売されています。バルデナフィルと早漏防止に効果があるといわれるダボキセチンも配合した錠剤など、バリエーションが多いのも特徴です。

サビトラ
インドのサバ・メディカ社が製造・販売するレビトラのジェネリック薬で、レビトラと同じバルデナフィルを有効成分とするED治療薬です。サビトラ自体はインドの厚生労働省ともいえるCDSCO(インド共和国中央医薬品基準管理機構)の承認を得た医薬品ですが、そもそもレビトラの特許がまだ有効なので正規品とはいえません。

これらのインド製のレビトラジェネリック薬はレビトラと同じバルデナフィルを有効成分としていますが、まだ国際的にはレビトラの特許は有効であるため、正確にはこれらは「ジェネリック」ではなく、インド版レビトラコピー品ということになります。

ジェネリックの偽造品に要注意

通販サイト等で比較的簡単に購入することが可能ではありますが、現在のレビトラ品薄の状況に便乗し、粗悪品や偽造品を売りつける悪徳輸入業者も決して少なくありません。事実、ネット通販で売買されているレビトラのジェネリックなどの半数前後がニセモノや粗悪品といわれています。

粗悪品や偽造品は健康被害を及ぼすだけではなく、最悪の場合、服用後に死亡するといった事例も海外では起こっています。そのためクリニックで処方されているからといって、レビトラのジェネリック薬に気軽に手を出すのは大変危険と言わざるを得ません。

レビトラ入手は冷静に

現在、レビトラの在庫がどのクリニックにも無い状況が続き、今まで服用されていた方々は不安な状態が続いているかと思います。しかしこういった時こそ落ち着いて冷静に状況を見極め、粗悪品や偽造品には手を出さず、正規ルートで入手できるよう情報収集などを行うようにしてください。