赤血球2013年3月、宮城県で行われた第23回 日本性機能学会東部総会において、ED治療に関する興味深い発表が行われました。ED治療薬を連続で(1日1回として毎日)服用した場合、血管性のEDを改善させる効果があり、服用を中止した後も、その効果が持続することが判明したというものです。

EDは動脈硬化などの血管病変のサイン
そもそもEDとは血管系疾患との関連性が深く、動脈硬化の予兆として捉えることが出来るというお話はED治療ナビで何度も取り上げてきましたが、今回の名古屋市立大学大学院薬学研究科の研究グループが行った基礎研究によって、今までは効果が限定的と指摘されることもあったED治療薬に、「連続」で使用することによって動脈性EDを改善し、勃起機能を向上させる効果があることが科学的に裏付けられました。

連続投与したラットの勃起機能と平滑筋が有意に改善
ここ数年の海外論文では既に、ED治療薬の主成分を血管性ED患者に「連続」投与することが、血管系EDに対して有効であり、血管や血流を改善し、勃起機能が高まるという報告がなされているものの、それらにはまだまだ科学的、医学的実証が少ないため、同研究グループが動物モデルを使った基礎研究で裏付けを行いました。同研究では、人工的に動脈硬化EDの状態であるラットを作り出され、一方のラットにはED治療薬の有効成分を一定期間連続投与し、もう一方には何も投与せず、どのような変化がみられるか検討されました。何も投与しなかったラットでは勃起機能は明らかに低下しましたが、ED治療薬の有効成分を連日投与したラットでは、勃起機能に有意な改善が認められました。

陰茎海綿体を保持する効果も
さらに、海綿体構造についても改善がみられ、ED治療薬の有効成分を連続投与することによって、海綿体が繊維化せずに構造を保持して、スカスカな状態になっていないことも確認されました。また、陰茎海綿体の平滑筋量とコラーゲンの比率にも違いが見られ、連続投与していないラットでは平滑筋とコラーゲンの比率において、平滑筋量が低下していたのに対し、連日投与したラットでは、比率は低下しないかったことが確認されました。つまり、ED治療薬の有効成分を連続投与することが、動脈硬化EDに対して効果があり、勃起機能が改善するとともに、陰茎における平滑筋組織も維持されることが実証されたのです。

連続服用を中止した後でも効果が持続
また、同基礎研究では、服用を中止し場合の効果の持続についても検討が行われました。その結果、ED治療薬の有効成分を連続服用し、それを中止したとしても、その効果は一定期間持続することが明らかになりました。投薬を終えたラットに1週間の休薬期間を経過させて、勃起機能の状態を調べたところ、改善効果の持続が確認されました。また、平滑筋とコラーゲンの比率についても、2週間の休薬期間を経経過させた状態で調べてみた結果、こちらも改善した状態が持続していることが確認されました。

以上の結果から、動脈性EDに対してED治療薬を一定期間連続して服用することは、海綿体の血行を改善させて勃起機能に効果をもたらすだけでなく、海綿体の平滑筋を保持するのにも重要な役割をもっており、さらにそれは一定期間経過した後も、効果が持続することが動物モデルを使った基礎研究によって裏付けられました。

ED治療薬は使い続けたほうが効果的
ED治療薬の副作用を過剰に恐れたり、依存性があるなどと誤解してネガティブなイメージを抱く人がいますが、この研究結果から考えれば、それが誤りであることが分かります。むしろED治療薬の服用を一定期間連続して行った方が、血管性のEDが改善され、海綿体の平滑筋も保持されて、「より勃起しやすい体に変わっていく」という効果があると言えます。

これは血管性EDで悩む人々にとって非常に有益で、希望の広がる発見といえるでしょう。それと同時に、ED治療薬の服用効果に疑問を感じている人や、治療をためらわれている人、あるいは服用をすぐに中止してしまった人にとっては、誤解に気付かせてくれる発見とも言えます。手遅れになる前に、今からでも治療を行って動脈硬化のリスクや血管性EDを回避することが大切です。