血管の浮き出た手「冠状動脈狭窄(かんじょうどうみゃくきょうさく)」という病気をご存知でしょうか?
冠状動脈とは心臓を囲むように走っている動脈のことです。この動脈がアテロームと呼ばれる脂肪性の沈着物の付着や、何らかの異常によって狭くなり、血流が悪化する状態のことを冠状動脈狭窄と言います。段階が進むと、血流が阻害されて心臓に十分な量の血液と酸素が供給できなくなってしまい、虚血状態を引き起こします。これがさらに悪化すると狭心症が起こるようになるのです。

冠状動脈狭窄である人がEDになる確率は高い
この冠状動脈狭窄と、EDの発症は密接に関係するという研究調査報告が国内外でなされています。
あるイタリア人医師が、海外医学誌「European Heart Journal」のオンライン版で発表した調査結果によれば、冠動脈疾患(狭窄)患者のED有病率は、75%にもなるとのことです。これを受けて、海外では「EDが心疾患の一形態」である事を示すとの知見が増えてきているのだそうです。つまり、EDは性機能障害であると同時に、何らかの心疾患があることを示している症状のひとつであるとする見方です。
こうした医学界での知見の変化は日本でも起きており、今年行われた日本性機能学会の学術総会においても、冠状動脈狭窄とEDの相関の深さや、EDを全身疾患のひとつと捉える考え方の重要性が、複数の講演の中でも述べられていました。

冠状動脈狭窄とEDに相関性がある理由
冠状動脈狭窄が起こることが、なぜEDに関係してくるのかというと、冠状動脈狭窄によって発生する血流悪化の影響は、体内の細い動脈から現れ始めるからです。動脈の太さというのは、体のどのあたりを走っているかによって違いがあります。脳の周辺部では直径5~6ミリ、心臓周辺の動脈は同3~4ミリあります。これに対して、陰茎動脈の直径は1~2ミリしかありません。陰茎動脈はまさに細い動脈の代名詞のようなもので、冠状動脈狭窄の影響を最も受けやすい動脈であると言えます。これが、冠状動脈狭窄とEDの有病率に相関が起きることの理由だと考えられています。

EDは全身疾患の前兆と考えるべき
冠状動脈が狭窄を起こし始めた場合に、真っ先に影響が出るのが陰茎動脈ですから、ED症状のほうが先に自覚される場合があるのも、ある意味では当然です。EDの自覚症状がありながらも、その裏側にある疾患には目が向かない、ということも多々あるからこそ、改めて危険性が指摘されているのです。冠状動脈狭窄をはじめとして、様々な病気がEDの発症に関係している以上、EDとそれらの病気との繋がりを疑ってみるのは大切なことなのです。
そうは言っても医師や専門家ではないのですから、「EDの原因として進行している可能性のある病気なんて分からない」と考える人もいるかもしれませんが、一番危険なのは、EDも含めて体の中で起きている変化を放置してしまうことなのです。早期発見ができれば、早期治療にも繋がります。少しでも勃起機能に異常を感じたら、それは全身疾患の前兆である可能性も否めません。放置はせずに、早めに医師に相談されることをおすすめします。