前回に引き続き、「セックスレスを生みやすい夫婦のズレ」についてお話しします。

今回は皆様がたに、ちょっと過去の恋愛経験をいくつか思い出してみてほしいのです。

よかれと思ってしたことに彼が無反応とか、浮気しているつもりではないのに彼に怒られたとか、またその逆もあり。ささいな喧嘩を何度も繰り返した経験がおありでしょう。

背中合わせのカップル

性のズレだけでなく、男女間の意識のズレは完全に埋まらないものです。脳科学的にも解明されています。

しかし、男女は脳が違うのだからしょうがないと脳のせいにしてあきらめていてはセックスレスもEDも改善しません。

では性のズレ、寝室問題はどんな時に生じるの?具体的に列挙してみます。「ああ、うちにもこういうことあった」と気付きがあることと思います。まず女性視点で見てみます。

ケース1:「言わなくても察してくれる」という思い込み

日本人独特の「相手の心情を汲み取る」きめ細やかな行為ではありますが、いかんせん、セックスにおいては、この「美の所作」もまったく作動しません。

15年近く、メールマガジン「となりの寝室事情」を配信し、セックスレスカウンセリングも行っています。このタイプのセックスレス、初期の頃は特によく見られました。

カウンセリング

 A子「子供ができてから2年間、夫が誘ってこなくなりました」

 私(すずね所長)「A子さんは、セックスについては控えめなの?」

 A子「いいえ、とっても抱かれたいです。むしろセックスしたくてしょうがない。」

 私「そのことは言葉で伝えましたか?」

 A子「いいえ、セックスしたいなんて女性の方から言うとドン引きされそうで」

 私「ダイレクトな表現ではなく、抱きしめて欲しいとか、エッチがなくて寂しいんだという気持ちを言葉で伝えてみて」

――その翌日

 A子「アドバイスありがとうございます。
伝えたら、え?していいの?産後、痛くてできないって言ったからずっとそう思ってた。僕もしたかったと言って、復活しました。」

 私「だから、ちゃんと言葉にしないと。察してくれだけではダメよ」

こういう一日解決の事例が何個も続いたのです。

さすがにポテンシャルの低い夫に「してして」と強く迫るのは禁物ですが、相手を観察して、伝え方を考えれば即刻解決するタイプです。

ケース2:「なくても平気」と言い切る

「なくても平気」。産後、子育て中や仕事が忙しい時期など、ついつい言ってしまいがちなワードです。

つまり、「それどころではない」感を醸し出す。なにげなく言ってしまう、しかも何度か複数回。

男性はデリケートですから、複数回も聞いてしまうと「子供が大変なんだな」「仕事で朝早いからしょうがないな」と理解力のある夫を演じます。

そのうちに・・・3ヶ月、半年。

半年なくなると、再開するのによほどのきっかけがないと難しいものです。再開のきっかけをどちらかが作らないと、1年、5年、10年と時は矢のように過ぎ去っていくというわけです。

では、この続きはまた次回お話しすることにしましょう。