最近、女性誌や健康雑誌の取材を多数受けけています。8月以降「女性用バイアグラに対する意見を聞かせてください」という案件が増加しています。2015年8月、アメリカで米食品医薬品局(FDA)がフリバンセリンを認可したと発表したことによる反響だと考えています。


女性用バイアグラのイメージ

「女性用バイアグラ」は誤解だらけの別名

女性用バイアグラ」という表現についてですが、根本的な誤解がありますよね。一般的に分かりやすいように表現しているつもりなのかもしれませんが、フリバンセリンは女性用性欲促進剤であるのに対し、バイアグラには性欲促進効果はありません。あくまで肉体的なメカニズムの面から勃起しやすくさせるお薬なのであって、性的興奮をもたらして勃起させる薬ではないのですが、「女性用バイアグラ」という表現が生まれるということ自体、バイアグラの働きに関するメカニズムが未だに誤解されているということの証なのでしょう。

性欲ギャップによるセックスレスには効果がある!?

さて、この『セックスレス処方箋』のブログ読者になってくださっている皆さんにはもうお馴染みだと思いますが、私は40代から女性の性欲は二極化するという説を唱えています。更年期のツライ症状や、体調不良でセックスがしたくなくなるかたもいますし、産後まったくその気がなくなる方もいます。対して旦那さんのほうは性欲があり、妻を抱きたいと思って悶々している場合、これはうまく噛み合ない状態が生まれます。性欲のギャップからセックスレス状態に陥るパターンですね。


背中合わせの夫婦

そういうセックスレスカップルの寝室事情改善に、フリバンセリンが一役買うことがあるかもしれないと、私は考えます。「したくない女性」のことを性的欲求障害という症状名でまとめていますが、おおげさにそんな症状名を言わなくても「性欲が減退した女性」でもいいと思います。そんな「最近したくないけど夫はその気だから」という女性にとっては、有効な薬ではないかと思います。日本では認可されていませんので、今後は海外通販、個人輸入という形で広まるのかもしれません。

フリバンセリンは本当に安全?

しかし、とっても危険であるということも同時に指摘しておかなければなりません。冒頭でも申し上げましたが「女性用バイアグラ」という表現には注意です。フリバンセリンはバイアグラとはまったく違います。バイアグラは男性の勃起状態をよくする薬。フリバンセリンは脳に作用してセロトニンの分泌を抑え、ドーパミンの分泌を促す薬です。


ベッドで寝転ぶ女性

脳の薬というだけで、なんだかちょっと怖い感じがしませんか。元々鬱症状を直すために開発された薬だそうですので、落ち込んでいたり、イライラしている女性は改善されるかもしれませんが、いきなり性欲が促進されて「アッハーン・・」となるかどうか、それがセックスレス解消に繋がるかどうかは、その女性とパートナーの関係性次第ということだと思います。

セックスレス改善はフリバンセリンではなく別の手段で

「女性用バイアグラ」という、厳密な作用からいえば誤った別名がついてにわかに注目をあびているフリバンセリンですが、妻を愛してやまない夫と、その愛に答えたい妻という関係が構築されていなければ飲んではいけないと、私は思います。失神や低血圧等、副作用もありますので旦那さんが奥さんに勝手に飲ませたりすると危ないのです。とくにお酒と一緒に「今夜はこの薬でセクシーな気分になってくれ」などと飲ませようものなら・・ああ、おそろしいです。「夫とはしたくないのに、無理に飲まされた」という相談がやって来ない事を祈って・・・

最後に、改めて申し上げますが日本ではフリバンセリンは無認可です!!セックスレス改善のためには、別の手段を試みてみましょう。